JAT  
Search JAT Search tips
Updated 2000-10-01
新刊本のご紹介

JAT Bulletin 186, September 2000. Publications Committee

会員の富井篤さんと、昨年9月のJAT東京月例会において「辞書作りの現場から」という題でお話下さった藤岡啓介さんの新刊書をご紹介します。


富井篤著
書名:「わかる・使える」実務英語シリーズ第4巻 実務英語の簡潔表現と文例集
出版社:(株)日興企画
サイズおよびページ数: A5版、400ページ
価格: 3990円(消費税を含む)
初版発行: 2000年9月7日

ご参考までに、「わかる・使える」実務英語シリーズ の第1巻から第3巻ま では下記のとおりです。

第1巻: 新・実務英語入門 書き方と訳し方
第2巻: 数量英語の書き方入門
第3巻: 数量英語の活用文例集


JAT会員の皆様に

 このたび,『翻訳は文化である――妙訳は口に苦し』という書名で翻訳論を書き上げましたので,ぜひご一読頂きたくご案内いたします.
 表題の「翻訳は文化である」は至極当然のことですが,今改めてこのことを問うても良いのではないかと思い,大上段に振りかざしました.「直訳か意訳か」「翻訳者の資質」の議論からプロの皆さんに関係のある「機械翻訳」や翻訳の「代価」についても検証しています.
 翻訳をただ口に糊する仕事としてではなくて,翻訳者自身が満足できる仕事にしたい,それには何があるか,どうすれば良いのか,などなど,できるだけ現場的な切り口で述べています.
 お一人でも多くの翻訳関係者,出版関係者に読んでいただきたい本格的な議論です.八月の十五日に発売されますので,都内でしたら大きな書店の新書コーナーでご覧いただけれると思います.また,地方の場合は二十日前後に店頭に現れると思います.
 添付の「目次」に正式な書名と出版社名を掲げております.書店でご注文の場合,「丸善の新書シリーズ」とおっしゃっていただければ間違いがないと思います.
 自分で書いた本をこのようにして宣伝するのは初めてのことですが,小生の翻訳に対する長年の思いを吐露しております.あるときは「翻訳が文化である」ことをなおざりにした翻訳やその社会的事情を嘆き,怒り,また翻訳者志望者,在宅翻訳者の実態を明らかにして,翻訳の業界,仕組みを批判しております.そして改めて先人の業績に敬意を払いながら,翻訳という仕事の価値を貴ぶ姿勢を貫いております.
 お読みいただければ,それなりの理由があることをご理解頂けると信じております.
  また,お読みいただいた後の感想,ご意見をEメール(FujiokaBilingual@msn.com)で頂ければ幸いです.

藤岡啓介拝


丸善出版事業部 発行
丸善ライブラリー326
藤 岡 啓 介著
『翻訳は文化である――妙訳は口に苦し』
新書・256ページ 780円(+税) 
ISBN4-621-05326-4 C0280

(詳細は丸善出版事業部の「新刊情報」または「丸善ライブラリー」を ご覧下さい)


目次

はじめの章 翻訳は文化である――シーシュポスの神話
 冥土への土産話にブリタニカ――死の床に文化の香りを求めた
 尾崎紅葉
 「彼ら」の大英博物館――レーニンのご馳走
 「錬金の術」から近代化学が生まれた――翻訳者の活躍
 翻訳者の権威によって名作が――著者と翻訳者が並んで本の背に
 重訳のおかげで名訳が――外国文学翻訳史を彩る英訳本
 署名のない翻訳者――翻訳のプロ誕生

第一の章 翻訳者の条件――人と超人
 翻訳に資格がありますか?
 新聞は下から読みなさい――日日を新しい言葉の中で
 シェークスピアかチェーホフか――なぜ重訳をするのですか?
 翻訳時代の言葉誕生記
 訳場の誕生――翻訳者玄奘三蔵
 翻訳の条件――ニーダム博士の六つの条件
  囲み記事 重訳おそるべし――チェーホフの『桜の園』をめぐって

第二の章 翻訳の環境――蔵の中
 詐欺師か発明家か――誤読も辞書に助けられて正解に
 「バラの葉」で二十二年――モーパッサンの謎を解いた河盛好蔵
 訳者がひとり翻って――思い込みで原文を軽視する翻訳
 辞書を訳す――遺書の用例が辞書にないことがある
  囲み記事 辞書の仕組みと言葉
 生きた言葉には生きた辞書を――辞書の選択基準
 言葉の裏をとること――辞書を使いこなす
 辞書のあわせ味――複数辞書の効用
  囲み記事 翻訳者の蔵の中――辞書のいろいろ

第三の章 直訳か意訳か――ねじの回転
 ペンの跡をたどった――原文を尊重すればするほど原文から離れる
  こともある
 死訳に声無し――原文は生きています
 フロオベエルはお坊っちゃんである――太宰治の落第答案
  囲み記事 一語説――辰野隆の苦心
 三者三様の競演――チェーホフの『可愛い女』の場合
 対訳に耐えなければ翻訳でない――直訳と意訳の議論を越えて
 「猫の額式」翻訳者が議論された
 直訳は大日本語、意訳は小日本語か?
  囲み記事 直訳と意訳――堺利彦の翻訳談義

第四の章 人の領域、機械の領域――藪の中
 女房には見せられない――プロの翻訳者を動転させた機械翻訳
 初めに辞書ありき――一九七〇年代から開発が始まった機械翻訳
 パソコンの付録――二千万円がただになった
 機械翻訳はだれのために――ホーム頁での実験
 機械翻訳はだれのために――電子メールでの実験
 「正確に、明瞭に、簡潔に」であれば――技術文での場合
 機械の領域――文章を書く側に問題が
 人の領域――個性のない文章は文章でない
 人の領域から機械の領域へ
 人間業であれば――知識と教養、人格と感性は人間のもの

第五の章 翻訳の代価――誰がために鐘はなる
やや上手に文章を書きうる男なり――わが国初の翻訳会社誕生
 翻訳もいたします――副業から正業に
 子守唄をBGMに――翻訳者志望者の底辺
 わたしの年収は例外でしょうか――社会的な限界か?
 本になったが報酬は?――ここにも社会的限界が
  囲み記事 本の定価と印税の仕組み
 プロの翻訳者が払う翻訳の代価

第六の章 翻訳と編集――生まれ出づる悩み
 翻訳者さまざま――志あっての翻訳
 翻訳を職業とする人たち
 副業としての翻訳――在宅翻訳者
 翻訳予備軍――翻訳者志望者
  囲み記事 翻訳教室と翻訳会社
 編集者と翻訳者――翻訳者なくして翻訳書は生まれない
   一. 企画立案
   二. 翻訳権の交渉
   三. 翻訳者の選定
   四. 翻訳の環境づくり
   五. 翻訳の評価
 翻訳者の資質――翻訳者と編集者との戦い
   英語教師――自己投資が問われている
   外国で博士号を取得して帰国した学者
   大人になった帰国子女
   英語学、英文学を専攻した秀才、才媛
   言葉のセンスに欠ける専門家
   ジャーナリスト出身の翻訳者
   プロの翻訳者――ときには「辟易させる」
   男の翻訳者、女の翻訳者
 翻訳以前――志のある翻訳を

終わりの章――妙訳は口に苦し
 誤訳の山の中で――翻訳の環境が誤訳を生む
 素人には分かり兼ねるのです――河上肇の悲鳴
 訳したのは河童の博士だった――石田英一郎の叫び
 訳者を二人、訳業半ばにして天に召した名著

あとがき


発行直前にもう1冊翻訳関連の新刊書をみつけましたので、ご紹介します。1981年に、中央公論社のシリーズ「日本語の世界」のNo.15『翻訳の日本語』として出たものの文庫版です。

川村二郎・池内紀著
書名:翻訳の日本語(中公文庫1048)
出版社:中央公論社
定価:本体1048円
ISBN4-12-203686-0

裏表紙から
「翻訳を通じて外国文化に魅せられた日本人がいかに異質の文化を取入れていったか。泡鳴、上田敏、堀口大學、鴎外、二葉亭四迷その他近代文学の巨人たちと翻訳とのかかわり方を実証し、日本語と外国語との出会いの中からどのような新しい表現を生みだしてきたか、また我々の言葉のもつ可能性をも考察する。」

Contents | Bulletins