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柏原英則
1996年4月から京都外国語大学で担当している英日翻訳 I および II について少し書いてみます。私の一方的な都合なのですが、講義内容の紹介はシリーズ化して少しづつ執筆させていただければと思います。
最近大学では珍しくなくなりつつありますが、この講義もオープン科目として、京都外国語大学の全学科(英米語学科、スペイン語学科、中国語学科、日本語学科、ブラジル・ポルトガル語学科、フランス語学科、)に開放されているだけでなく、学外からの学生または社会人の受講・聴講も認められています。数年前には、「日本語を上達させたい」と言って、留学生別科のアメリカ人学生や
'house engineer'
である女性も受講に来ていました。今年も、社会人学生が1人受講しているほか、他大学からの編入生も混じっています。今年は、両クラスとも他学科からの優秀な受講生が半数を占めており、英米語学科の学生には良い刺激となっているようです。
その他の大学でもやっていることですが、京都外国語大学でも4月の講義開始後最初の2週間は、選択講義を自由に見て回る期間があります。いわゆる、「講義の視察」みたいなものでしょう。講義概要からは把握できない可能性がある先生との相性、クラスの雰囲気、講義内容の難しさ、実際の評価の厳しさなどを判断するものだと思われます。一部の先生は、「最初の2週間は学生の出入りが30分毎くらいにあるので、講義が細切れになる」と苦情を漏らす方もいます(本当にその通りです)。受講生の中には要領が良くて、「第3週目までは本格的な講義をやらない」と高を括り、平気で講義をさぼる学生もあります。もちろんそんな学生には、第3週目に初めて出席したときに私の笑顔で迎えてあげます。笑顔は絶やさず、じっくりと落ち着いた調子で、1つ1つ丁寧に質問を重ねていきます。決して高圧的には出ませんが、最終的には自分の考えの甘かったことを反省し、大部分の学生は登録を辞退します。
最初の講義の説明でいくつかのポイントを強調します。こうしないと、安易に単位数だけを揃えようとする「冷やかし受講生」が急増するのです。こうなると、クラスのまとまりがまったくなくなります。次ページに今年度の講義で使用したプリントの一部を引用してみます。
上記のプリントの内容に目を通すと、「2週間のお試し期間」には教室一杯に溢れていた学生数が、最終的には1/4くらいにまで減ります。教室で黙って講義を受ける方式に慣れた一部の学生にとっては、プレゼンテーション方式はかなり苦痛のようです。第1回目の講義の説明で「プレゼンテーション」というだけで、教室を出て行く学生が1割程いますので、よっぽど嫌なのでしょう。こうして、ディスカッション形式の講義に相応しいところまで、人数を落します。今年(平成12年度)は、英日翻訳 I および II の最終登録者が、それぞれ11名および7名となっています。実際には、教育実習、就職活動、病欠などで抜ける学生もいますので、これより出席者が若干少なくなる週もあります。英日翻訳の両クラスとも、4回生対象のゼミのような雰囲気になります。
ここまで人数を抑えることができると、講義が非常にやりやすくなります。年によって異なるのですが、クラスのメンバーの波長が合うと、講義の雰囲気もぐっと良くなります。そのため、第2週目からは、お互いに遠慮せずに意見をぶつけ合えるよう、講義の主題に入る前にクラスの「場作り」を行います。このセッションを設けた年と設けない年では、講義中の学生同士の協調レベルが全然異なるので、毎年行っています。クラスの中には、私が何も指示しなくても親睦を深める学生も一部にはいます。しかし、学生の中には週1回顔を合わせるだけの講義仲間に対して、積極的に話しかける勇気のない学生も混じっていますので、こちらが音頭を取って各自自己紹介をさせています。
自己紹介では、差し支えない範囲で好きなことを喋らせます。最低限カバーさせる項目は、以下の通りです。
このようなセッションを経て、第3週目から本格的にプレゼンテーション方式の講義がスタートします。学生に取っては非常に刺激的な講義となっているようです。毎年行っている学生対象の講義アンケート回答の紹介、具体的な講義の進め方については、次号のBulletinに譲ることにします。