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Updated 2000-07-01
IJET-2000 特別講演 Memoirs of a Lecture

JAT Bulletin 183, June 2000. Publications Committee

第11 回英日・日英翻訳国際会議
国立京都国際会館
2000 年5 月20 日〜21 日

「特別講演」
題目  誠実なさゆり− Memoirs of a Geisha の翻訳作業を振り返って


講演者 小川高義 ( おがわ たかよし)先生

第11 回英日・日英翻訳国際会議は、日(土曜日)ほぼ定刻通り京都の国立京都国際会館で順調な滑り出しで始まった。IJET-2000 の初回会議とあって、開会式後のパネルディスカッション「世界の翻訳市場動向」では、各パネリストの発言に熱心に耳を傾けている参加者が多く見られた。その後に横浜市立大学の小川高義先生による『さゆり』の翻訳作業に関する特別講演がセットアップされた。

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長時間の1時間30 分に及ぶトークであったが、小川先生のパーソナリティーによる演出効果にも助けられ、聞く側を飽きさせることのない内容であった。特に、小川先生自身は意図されたかどうかは定かではないが、講演中の適度のエピソードで、会場内が笑いに包まれることも多々あった。これは、小川先生の温厚な性格と旺盛なサービス精神も関係していたのだと思われる。こうして緊張の糸が程良くほぐれる中、ほぼ満席に近い大会議室で、講演は進行した。小川先生の締めくくりの言葉、「嘘も誠もありますやろう。翻訳どすさかい」は、今も私の耳に残っている。このとき会場内は大爆笑であった。

実際の講演は題目の通り、翻訳作業に伴う苦労話が中心であった。具体的には、以下の項目を中心として、小川先生による考察、コメント、エピソード、苦労話、考証などが具体例と伴に展開された。講演中メモを取りながら、「大学の先生の講演で、アットホームな雰囲気の中でこんなに楽しめるトークは久し振り」という印象を受けた。

(1)「『さゆり』翻訳の依頼に関する数奇なエピソード」
(2)「実際の翻訳作業における苦労話」
  -『さゆり』の翻訳作業に当たって利用した書籍および参考文献の 紹介、祇園での取材に関するエピソード
 −日本を舞台とした英文小説を訳出する上での長所および短所に ついて
 −京都ことば、祇園ことばを中心とした文体を用いて訳出する際に神経を使った点
 −原文描写の手落ち部分についての考察および分析
 −文脈に応じて訳し分ける必要のあった単語例の紹介
 −「色を訳出する際の問題(文化による色彩感覚の違いについて)

(3)「時代考察における翻訳の許容範囲について」
 −原文中のanachronism(時代錯誤)について

(4)結びの言葉−日本語版が完成した際のエピソードを中心として

重複する部分もあるが、以上が講演内容のあらましである。各項目についての詳細は、IJET-2000 の論文集(Proceedings)に掲載されるので、そちらを参照していただきたい。

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