Updated 2007-02-06
富井式英文データ収集・分類・収納方式(通称「トミイ方式」)
富井 篤

定刻2時、5分遅れて開始しました。

 

第一部は主題の「トミイ方式」の「これまで」と「今」、そして第二部は主題の「これから」とし、途中、休憩を挟み、5時までの3時間弱お話をしました。

 

第一部 「トミイ方式」の「これまで」と「今」

「トミイ方式」とは、富井式英文データ収集・分類・収納方式の通称です。

注: 昔は、データを分類してカードに収納していたところから、

「カード方式」と呼んでいました。「カード方式」ならば、

固有名詞としても認知できたからです。しかし、

コンピュータ化し、これを「コンピュータ方式」と称しても、

これでは固有名詞としては認知できません。そこで、やむなく、

不遜を省みず、「トミイ方式」と呼ばせていただいています。

 

1 「トミイ方式」のきっかけ  

35年前の商社勤務時代、英米人の英語が日本人とは全く違った発想で書かれていることにショックを受け、これからは、彼らの書いた文章、表現、言葉を徹底的に収集し、使いやすいように分類しておいて、必要な時に出してきて英文を書く以外、方法はない、すなわち、日本人にとっては、所詮、「英作文は英借文」なんだという考えに落ち着きました。その極め付けが、アメリカのある会社から来た次のような手紙でした。

  Present schedule will bring me to Tokyo on February 27.

この表現がいいかどうか、ましてはこのように書かなければならないのかどうか、そんなことではなく、われわれ日本人には、いくら英語の勉強をしたからといって、決して発想することができない表現であったことです。日本語では、実体のない「スケジュール」なるものが70キロ、80キロの人間を運ぶこと自体ナンセンスであるからです。

それ以来、英文を書くときに役立つ英文データを重点的に収集し始めました。やがて、時の経過に伴い、いろいろな品詞、構文、数量表現などにも発展させ、さらには、和英・英和の辞書編纂を視野に入れてからは、すべての英単語を貪欲に収集するようになりました。

 

2 「トミイ方式」の変遷

すべての人がするように、最初は、私も、翻訳中、読書中、興味を引いた字句に赤線を引いていました。それが赤線時代 です。しかし、そのようなデータは、やがて散逸・消滅していくものであることを知らされ、これを何かに書き留めておかなければならないことに気づきました。それが、次の「ノート時代」です。しかし、ノートに書きとどめるのでは、すぐに行き詰まりを生じ、ついに「カード時代」に入りました。その「カード時代」が20数年続きました。やがて、時代の波に押され、遅ればせながら、5年程前から「コンピュータ時代」に入り、現在に至っています。

赤線時代 

 

ノート時代 

 

大学ノート

 

ルーズリーフ 

 

カード時代 

  

複文一葉 

  

一文一葉 

  

一パラグラフ一葉 

 

コンピュータ時代

 

ただ、「コンピュータ方式」では、英文データはすべて電子化されていなければなりません。電子化されていなければ、新たに打ち込むか、OCRを使って電子化しなければなりません。さらに、電子データの取り扱いが苦手な「人」や電子データの取り扱いができない「シチュエーション」もあります。そのため、「コンピュータ方式」への完全切り替えはできず、まだしばらくの間は「カード方式」との併用が必要になるでしょう

 

3 「トミイ方式」の分類法

まず、七つに大分類します。

A.アルファベット順        (順番+分類)    

B.50音順                    (順番)      

C.表現別                     (順番+分類)      

D.品詞別                     (分類)

E.構文別                     (分類)

F.数量表現別              (分類)

G.その他                     (分類)

 

これらの大分類」をさらに、「中分類」、「小分類」、「細分類」、「細々分類」、「極細分類」に細分化してあります。詳細は、第二部 「トミイ方式」の「これから」を参照。

いずれの分類でも、1枚だけ収集すればよいのではなく、使用頻度のバロメーターにもなりますので、出てくるたびに、貪欲に収集することが大事です。

             

4 「トミイ方式」の目的と機能

「トミイ方式」には次の三つ機能があります。

     学習機能

     活用機能

     制作・発表機能

1の「学習機能」とは、英文データを収集・分類する過程で、さらに分類したデータを教材として、技術英語や技術翻訳を独習するという機能です。

2の「活用機能」とは、収集し、分類したデータを、手持ちの英和辞典や和英辞典の不備なところを補完する手作りの辞書として実際の翻訳の際に活用するという機能です。

3の「制作・発表機能」とは、収集・分類したデータを、国際会議などでの講演(著者のウエブの「プロフィール」をご参照)、大型の科学技術和英・英和辞典を初めとして、技術翻訳関連のハンドブックや参考書類などの著作(著者のウエブの「著作物」をご参照)、さらには、30年程前から始めている富井翻訳教室(著者のウエブの「翻訳教室」をご参照)のテキストや課題集などのネタともなって来た機能です。

これらの機能を果たすために、「トミイ方式」の分類法 で述べたように、英文データを7つの大分類、すなわち、「アルファベット順」、「50音順」、「表現別」、「品詞別」、「構文別」、「数量表現別」、「その他」に分け、さらにそれらを「中分類」、「小分類」、「細分類」、「細々分類」、「極細分類」に分けています。そして、目的にあわせて機能を見定め、英文データを収集しています。すなわち、何を集め、どのように分類しておくどのような「目的」に使えるか、またどのような「目的」に使うためには、何を集め、どのように分類しておくかということになります。

またこの「トミイ方式」は、英文データの収集のみならず、普通の日本語の情報やデータの収集にも活用できることはいうまでもありません。


下の表は、「トミイ方式」「機能」「目的」、それに対応する「分類」を示したものです。

 

  「トミイ方式」の分類表

「分類表」「トミイ方式」の憲法です。これまでに収集してきた約350,000点に及ぶ英文データを大分類」、「中分類」、「小分類」、「細分類」、「細々分類」、「極細分類」し、ツリー状にチャート化したものです。この「分類表」では、ほとんどの箇所を「中分類」「小分類」にとどめ、各自のやり方でその先の分類を試みられるような余地を残しています。七つの大分類」すべてに対し、「細分類」、「細々分類」、「極細分類」までしている箇所もありますが、これは、各自が細分化する際の手助けになるよう、例として示しているものです。

 

第二部 「トミイ方式」の「これから」 「e-アトラス」とは

注: 「e-アトラス」とは、今現在、ある大手出版社と協力して

来年1月刊行を目途に「トミイ方式」の商品化プロジェクトを

進めていますが、その商品の仮の名前です。

 

  e-アトラス」の概要

e-アトラス」は、著者が、過去35年間に収集し、分類してきた約350,000個のデータと著者が今までに著作として発表した情報すべてを、約30,000個の末端情報として電子データ化して集大成し、現時点で考えられる「技術英語の世界のすべて」として「商品化」しようとするものです。e-アトラス」には、(1)「分類表」を発展させ、現時点ではほぼ95%の情報を内蔵している「モノ」、すなわち「ハード」と、(2)この「モノ」に従って、これからユーザーがデータを収集し、分類し、収納していくことのできる「コト」、すなわち「ソフト」の二つの機能があります。とくに後者、すなわち、ユーザーが、独自にデータを追加していくことができる点は、このe-アトラス」の最も特筆すべき機能です。

また、活用面では、二つの大きな特長として(1)検索が可能であること、(2)ユーザー書き込みができること、が挙げられる。 

 

  e-アトラス」の機能と目的

e-アトラス」には、「学習グッズ」としての機能と「発展ツール」としての機能がある。「学習グッズ」機能とは、技術英語・技術翻訳の「学習」「活用」ができる「グッズ」としての機能であり、「発展ツール」機能とは、ユーザーが独自に収集したデータをこのe-アトラス」に追加していくことができるので、ユーザーが、世界で唯一つの、自分だけの手作り情報データ集を作っていくことができる「ツール」としての機能である。ことに「ツール」としての機能は、各自のニーズと感性で収集していくことにより、「トミイ方式」の三つの機能、すなわち、「活用機能」「学習機能」および「制作・発表機能」を発展することを可能にする、e-アトラス」の大きな目的のうちの一つであることを説明。

 

  e-アトラス」の活用法

現在、プログラムを設計中ですので、詳細はお話できませんが、機能としては、「検索」と「ユーザー書き込み」ができますので、e-アトラス」は、商品化されたデータ集というだけでなく、ユーザーが、その後、独自に収集したデータを、自在にこのe-アトラス」に追加していって、独自のベータベースを構築していくことができるという長所があります。そのため、e-アトラス」を使用することにより、生涯、技術英語・技術翻訳の学習が続けられますので、長いスパンで考えていただけると、技術英語・技術翻訳の「独習法」にもなります。

 

5時きっかりに終了し、その後は、20人という大軍団で二次会に繰り出しました。